東京都府中市 不動産売買 「祖父の残した遺言」第5話

query_builder 2022/07/18
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私は昼の疲れで思わず居眠りすると叩かれたり抓られたりして黒血だらけであった。

遂に午前二時迄据わらされ堪えかねて主人の熟睡を見定めてやっと寝た事もある。


夏時になっても蚊張を吊らないから仕方なく御客様の洋服クリーニングに品物で頭や手足を包み漸く蚊を防いだ。


又主人の命令で方々の用達しに行く御得意から小遣銭を貰うこともある。

又、途上で死んだ鼠を拾い交番に届けて5銭ずつを貰った事も数十回あって其の金は使わずに皆郵便貯金とし1円35銭に達した。

そして或る時4歳の女子を背負って京橋まで用達に行った帰り風呂敷に丸めて子供に持たせ玩具代わりにあやしながら来る途中家に帰ってたら何時の間にか風呂敷を紛失して居た。

その為に又も女主人の怒りに逢い散々叱られた揚句其の賠償として私の貯金全部を取上げられた。


其の頃女主人は主人には秘してクリーニング代金に1割乃至2割を増額して領収書を発行し私に集金を命じていた。

その金が30何円かの郵便貯金に達して居た。

郵便局の往復は私丈だからその秘密はよく知って居た。

毎日の虐待に堪えずかねて仙台に逃げる決心で居たが或時下谷へ石鹸を買いにやられたその時貯金通帳と印鑑を箪笥から盗み出して郵便局より10円を払戻し其の足で石鹸を持った侭上野駅に至り1円35銭で仙台迄の子供の切符を買い求め汽車に乗った。


仙台に来る途中牛乳御菓子弁当などあらゆるものを買食いして胃腸をすっかり壊して終った。

東京には足掛け2年満1年余り居った。


東京へ行く当時母は塩釜に住んで居たので塩釜へ尋ねたが転居して仙台の八幡町に居る事を聞きそこを夜遅く訪ねた。

然しそこには母と共に前述の継父が居るので一日も居られずすぐ東3番町の熊田トク即ち叔母の家に行って厄介になった。

其の時は丁度15歳であった。


叔母のすぐ隣に東京の奉公先今野信平の実兄今野謙吉氏がペンキ塗装業を営んで居ったが貯金通帳と印鑑を盗んで帰仙した事を告白しそれを返し東京へ送って貰った。

其の時今野氏は私に対し御世話して却って申訳ない事をしたと言われその取返しに私の所に勤めないかとの話に自分もそれに同意し一生懸命勤める覚悟で受諾した。


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