東京都府中市 「祖父の残した遺言」第8話

query_builder 2022/08/04
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が、その金は遂々継父が仕出屋に支払せぬ事が後で判明した。


入隊後約一カ月位は外出が出来なかった。

中隊の将校の方々は私の一身上を心配して呉れた。

外に班長の鹿野誠一氏が特に心配して力を入れて呉れた。


一月の末頃班長鹿野氏と特別の外出をして新坂通の我家を訪れた所、継父は前記の仕出し屋への支払分を遊興費に費消し家財道具及私の衣類一切を売り飛ばした上私の名で他より夜具等を借りて後始末せぬため詐欺の告訴をさせて居る事がわかった。

それで憲兵及警察署に出頭し右の事情を打ち明けた処、警察では私を犯人として捜査中である事が解った。

警察でも事情が判明したのですぐ手配を変えた。


それより三か月後中隊長の心尽くしで中隊附富田中尉の実家福島市に石巻に居た妹を女中奉公させる為差向けた処、途中行方不明となり驚いて憲兵隊や警察へ依頼し八方捜索の手配をした。

其後約四カ月を経て東京本所の鐘ヶ渕紡績に居る事が判明したのですぐ班長に相談して二十円を借用し外泊の許可を得て上京し妹を売れ戻した。

暫く中隊長の家に預かって貰い福島に送り届けたが間もなく仙台の富田中尉の宅に女中として転じた。

妹の行方不明の当時隊内の多数の人々より同情を寄せられ又、仙台の新聞並みに東京の新聞は、

「嗚呼、兄の忠義苦心談」と言う見出しで親孝行として掲載され隊内の評判となった事もあった。


永い二年間の兵役も無事勤め終わって大正九年十一月除隊した。


処が家も無く着物も無く頼るものがないので、元の主人の家に落着いた。

四ヶ月半の借用日数を返済すべく第一歩に入った。

間もなく返済日数も満期に近づく頃主人の長男が病死の為五年位手伝って呉れと申されたが、私には父母の位牌を守り一家再興の責任がありその上、妹二人も控えているので目前の不安があり、その相談には応じなかった。

話がまとまらぬ為、立会人として同業者の櫻井 芳治氏に相談し双方の主張を審理した処、結局主人側に無理あることを認めたが尚向こう後一年間私の働いた金額の一割を納める事を申込んだ処、主人側も承認した。

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